誰かに闇を押し付けていないだろうか

この小説を読んだあと、そう自分を顧みずにはいられなかった。

 

 

学校で、会社で、団地で、身の周りにいるちょっとおかしな人。みんなの調子を狂わせるような、人の心に悪意を吹き込むような。それはひょっとしたら「闇ハラ=闇ハラスメント」かもしれない。「あの一家」が来ると、みんながおかしくなり、人が死ぬ。だから、闇は「祓わなくては」ならない――。辻村深月が満を持して解き放つ、本格長編ホラーミステリ!

 

闇ハラスメントとは「心の闇から生じる自分の負の感情を一方的に相手に押し付けること」だそう。あーそういう人いるいる。私もやられたな。

なんて思いながら読み始めたら、闇ハラの被害者だったはずの人が、相手や環境が変わるといとも簡単に加害者になってしまうのを目にする。

そのうち、自分ではそんなつもりがなくても、誰かに闇ハラをやってたかもしれないという気になって、背筋が冷たくなってくる。

第1章から第4章までを読みながら、なぜみんなおかしくなって、人が死んでいくのか?という謎は最終章ですべて明らかになり、各章に張られた伏線も回収される。

実はホラーって苦手だったけれど、こんな風にミステリーと合わさるとおもしろいんだな、と新たな発見。ホラーだからと避けないで読んでみてよかった。